ワイヤーアンテナ

RT-11 2003年5月

LDG製オートアンテナチューナー

rt11.jpg

 このアンテナチューナーの最大の特長は,ラッチ式リレーを使用していることで,チューニングが取れた後は,電源(電池)をはずしても使用可能です.防水加工もされていて移動運用に最適です.

写真説明:左端の白くて四角い「箱」がRT-11本体.無線機(FT-897M)の上の小さくて黒く,横長のものがコントロール部.無線機の上に載っている006P積層乾電池2個を電源に使用.詳細は本文参照.


目次


入手までの経緯

 ローカルクラブ(学園都市ハムクラブ)で,米LDG社製のオートアンテナチューナーの共同購入の企画があり,リモート式のオートアンテナチューナーRT-11とコントロールヘッドを購入することになりました.

 このRT-11は,何年か前に新発売された当初から関心があり,アメリカ在住の知人が帰国する際に託したり,自分で購入の算段もしましたが,なかなか間が悪く,今回ようやく購入することができました.

 LDG社のサイトを見ると,割安なキットも販売されていますが,LDG社に直接メールを送ってもなしのつぶてです.アメリカの大手のアマチュア無線通販店では,キットの扱いはなく,完成品を買うしか選択肢はありませんでした.

ついに入手!

 メンバーのお一人にお骨折りいただいて,5月中旬に手にしました.今回,メンバーのうち,手続きをとってくださった方と私の他3名(都合5名)が購入しました.RT-11本体と専用コントロールヘッド(コントロール部)を5人が1台ずつ,1人が合わせて4:1バランも購入しました.

 届いた品物のうち1組だけ,箱が古く,付属の取扱説明書のバージョンも古くなっていました.また,1つだけ,コントロールヘッドについているはずのDC電源コードがありません.まあ,かの国からの輸入にはトラブルは付き物で,今回は大きなトラブルではなかった,といえましょう^^;

CPUのアップグレード(FT-897対応化)

 私が,そのマニュアルの古いものを引き受けましたが,なんと,古いのはマニュアルだけでなくCPUのバージョンも古かったです.他の4台は最新のVersion 1.4,私のはVersion 1.3です.LDGのWebによれば,違いはFT-897への対応だそうです.何と言うことでしょう,私はFT-897での使用を考えてました.

 LDG社に電子メールで確認したところ,CPUをはずして送れば無料でアップグレードしてくれるとのことでさっそく送りました.

 送ってから,待つこと3週間,かなりしびれてきたところに届きました^^;

 ソケットに差し込んでダミーをつないでの動作確認はOKでした.

ダミーと適正アンテナでのテスト

 さて,ダミーロードでは,1.9〜50MHzまでどのバンドでも,全く問題なくチューニングできます.また,私のところのアンテナは,どれもチューナーなしでも使えるように整備してあって(まあ,あたりまえ),やはりどれも問題なくチューニングできます.

1/2 G5RV

G5RV アンテナについて

 G5RV というのは,マルチバンド用のワイ ヤーアンテナで,お察しの通りイギリスのハム, G5RV の発明によります.インターネットで調べた限 りでは,発明者は何年か前に亡くなっています.

 日本でも,使用されている方が多くはありませんがいます.海外では欧米を中心に愛用者は多く,友人VK5EMI John も現用していま す.

 このアンテナの概要は,全長31m のダイポールアン テナの中央から,長さ10m の平行フィーダーで給電 し,そこから先は,バランを経て同軸ケーブルをつな ぐというものです(原典ではバランなしの直付けらし い).このような単純構造で,3.5, 7, 14, 21, 28MHz で 使用可能とされています.

 このアンテナの動作原理についてはいろいろ言われ ていますが,あまり深く考えない方が良いと思います. すなわち,適当な長さのワイヤーでダイポールアンテ ナを作り,適当に給電して,送信機側でマッチングを 取るという理解でよいと思います. ポイントは,

  1. 給電点がバランスしているので,インターフェアー やマイクやキーヤーへの回り込みなどの,コモンモー ドのトラブルが起こりにくい.
  2. 平衡・不平衡の変換箇所が電圧の腹にならないよう に平行フィーダーでポイントをずらしている

の2点に集約できると思います.「バランス型ランダム長アンテナ」と言うことができ ます.しかし,完全に適当な長さのエレメントでは, 周波数によっては平衡・不平衡の変換箇所が電圧の腹 になることがあります.また,エレメントが波長より も大幅に短いと,エレメント上に電流の腹ができないため,実用的な輻射効率が得られません.それらの巧 みな妥協点がG5RV と言えます.

 3.5MHz での使用をあきらめれば,ちょうどサイズ を半分にすることができます.これがいわゆる1/2 G5RV アンテナで,今回製作したものです. このサイズでも,芯線と外被をショートして,ロングワイヤーとして3.5MHzで使う(あるいは原型サイズを1.8-1.9MHzで)と書かれている人もいますが,回り込み等が生じないメリット(平衡であること)を損ないますのでお勧めしません.

フィーダーとバラン

 以上の要点をふまえて,アンテナを作りました.と りあえず作る上で,最大の疑問点は,平行フィーダーをどのように作るかです.前出のVK5EMI John は, どこからか手に入れた厚手の絶縁性の板で間隔が10cm になるようなしっかりしたスぺーサーを作り,50cm 間 隔で敷設しています

 一方で,Web で検索をすると,アメリカやヨーロッ パでは,いかにもテレビの平行フィーダーと解る線材 を使ったキットが市販されています.これらと自分の 理解とを合わせれば,問題は耐圧だけとわかります. 移動局や100W 程度までの運用でしたら,テレビ用の 平行フィーダーで大丈夫だと思います.

 実際に作ったのは,エレメントは1.6mm 径のビニー ル被覆単芯銅線,フィーダーには手持ちのUHF 用めが ねフィーダーを使いました.また,平行フィーダーと 同軸ケーブルの接合部にはフェライトのトロイダルコ アに被覆銅線を2本巻いたフロートバランを用いまし た.ここは,トライファイラの1:1 バランでもよいと 思います.しかし平衡なアンテナとは言え,設置条件 から必ずアンバランス分がアンテナ側に生じてしまい ます.エレメントの高さや立木や建物との距離の違い が原因です.移動の仮設では免れることができません.

 トライファイラーの1:1 バランや,バイファイラー の4:1 バランは,厳密には「強制バラン」と呼ばれ, 原理上,アンテナ側のアンバランス分が同軸側にはコ モンモードとして変換してしまうのです.その点,フ ロートバランは,アンテナ側とフィーダー側のコモン モード成分を双方向に遮断する働きをしますので,最 適だと思います.

仮設実験

 製作したアンテナをベランダの手すりから街灯の ポールに張りました.地上高は4 〜 2m です.

 さっそくRT-11 を介してFT-897M に接続して 10MHz でチューニングを取りました.FT-897M の電 源は内蔵したバッテリーです.RT-11 にも電源が必要 です.FT-897M からとることも可能かもしれません が,RT-11 のマニュアルにある006Px2 を試してみま した.RT-11 は,ラッチ式のリレーを使っていて,チューニングが完了した後で,電源をはずしてもリ レーのON/OFF の状態がそのまま保存されるのです. 非力な006P でも,電力を使うのはチューニングに必要 な数十秒間だけなので,1回の移動には十分です.

 実験の日は梅雨の合間に夏空が広がりました.炎天下 でコントロール部のLED は見にくくなりますが,手で日差しを遮りなが ら,10MHz でチューニングが取れたことが確認できま した.あまり,強い局は聞こえませんでしたが,3エリアのクラブの移動局 が599 で入感していたため呼んだところ,一発で取 れました.もらった599 はあてになりませんが,こち らの名前,JCC ナンバーとも2度打っただけで,コ ピーしてもらえたので,十分な信号強度だったと思い ます.  非常に暑かったうえ,コンディションのせいもあっ て聞こえる局も少なく,QSO はこの一局のみでした.

 このあと,7MHz にQSY してみたところ,アンテナの チューニングを取り直さずにVSWR=1.5 程度でした. ここで,Tune ボタンを押したところ,かえってチュー ニングが取れませんでした.制御ROMバージョン アップしてもらったのですが,さらに改良の余地が 残っているように感じました.

移動運用とチューナー

 FT-897 シリーズには,純正のアンテナチューナーも 発売されていますが,対応可能VSWR は3.0 までのた め,もともと給電インピーダンスが50 Ωからかけ離れ るG5RV には使えないと思います.この純正チュー ナーと同じデザインでVSWR=10 まで対応のチュー ナーをLDG 社が販売しています.しかし,アンテナ近 くに置いたり,他のリグとの組み合わせも考えた場合, RT-11 がよいと思います.たいていの純正・内蔵チューナーは,VSWR があま り高くない範囲での使用を前提として,たいていは VSWR=3 くらいまでしか対応していませんので,そこ らあたりが,G5RV が普及しないひとつの原因かもし れません.

 今回のように非常に地上高の低い仮設状態では,打 ち上げ角が高く(ほとんど真上)なります.これは,E 層正規反射の国内QSO に向きます.今回の設置条件で は,DX には不向きですが,尾根,傾斜地などを利用す ることによって,DX も十分可能と思います.

 G5RVについては,2000年にもテストしたことがあります.下記記事をご参照ください.

参照

スローパーで無理矢理チューニング

 ローカルクラブのメンバーの一人が,夏休みに那須に移動されました(って,こう書くと無線の運用のためみたいですが,そうではないですが^^; ).7MHzのCWでオンエアされるということで,是非QSOしたいところですが,あいにくと,その前日,台風が接近しているので,クワッドと,3.5MHz, 7MHz用スローパーは降ろしてしまいました(スローパーは台風でどうなるものではないのですが,物理的にクワッドを降ろすためには,タワーに沿わせるしかないのです).使えるのは10MHzのスローパーのみです.

 そこで,RT-11を使って,10MHzのスローパーで7MHzにチューニングを取ってみたところ,取れました.そして,メンバーの信号を発見して呼んだところ交信成立しました.

 アンテナの正規の周波数以外でチューニングが取れて運用可能というのもLDGがセールスポイントにしています.それが確認できました.私は,移動局で非常用周波数の4630kHzの指定を受けていますが,実際にこの周波数のためにアンテナは用意していません(指定を受けている周波数のアンテナをそろえるのも大変なので,使わない周波数のアンテナを持っている人は逆に珍しいでしょうね).今回のテストで,いざというときにはRT-11を使って,3.5MHzまたは7MHzのスローパーに4630kHzを載せられると確信しました.

関連リンク



JE1SGH / I Hieda
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作成日: 2003年5月11日(日)
更新日: 2003年7月2日(水)


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Last-modified: 2007-09-29 (Sat) 11:36:16 (785d)